第20章 事件
柱稽古どうしよう…、と不安げに呟くと、しのぶが病室に入ってくる。
し「そんなに長くはかかりませんよ。
恐らく隊士たちの到着までには屋敷に戻れます。」
『しのぶさん。』
そのまましのぶは杏の手首などに触れ、脈を確認する。
し「脈は異常ないですね。
では、少し話をしましょうか。」
優しく微笑むしのぶに小さく頷く。
隣りにいる不死川の手にそっ、と触れると軽く握り返してくれる。
そのお陰かどうかはわからないが、しのぶからの質問にもしっかりと答えることができた。
し「どのような経緯であのようなことになったか、お話いただけますか??」
『いつも通り日中は裏山で柱稽古の準備をしていました。夜の警備の準備のために屋敷に戻ったんですけど、そのときからおかしかったように思います。』
し「おかしかった、ですか??」
『はい。あっ、そういえば小鳥遊さんは…。』
事件の経緯を話そうとして、ずっと意識がなかった小鳥遊のことを思い出す。
し「彼も無事ですよ。同じ薬を打たれたようで今はここで療養中です。」
しのぶの口から小鳥遊の無事を聞き、胸をなでおろす。