第20章 事件
小さく微笑み、目を閉じた。
不「おィ、胡蝶。
本当に大丈夫なんだろうな??」
し「えぇ。解毒剤打ちましたし、身体は大丈夫でしょう。問題は精神面です。かなりショックだったでしょう。」
今は安らかに眠っている杏の寝顔を見ながらしのぶは眉間に皺を寄せる。
不「サクラが助けを呼びに来なきゃ間に合わなかったぜェ。」
し「よく頑張りましたね。サクラ。」
サ「杏ガ機会ヲ作ッテクレタノヨ。
ワザト大キナ音ヲ立テテ私ヲ行カセタ。」
蝶屋敷へと向かう道すがら2人と1羽の空気はとても重かった。
数刻後、杏は目を覚ました。
『…ここは、蝶屋敷。』
チラリと腕を見れば点滴が打たれていた。
そして、左を見ると不死川が腕を組んで座りながら寝ていた。
杏(…もう、大丈夫。)
その姿を見た瞬間、安堵感が押し寄せ、涙で視界が歪む。
グスッ、と鼻をすすっていると不死川が目を覚ました。
不「目が覚めたかァ。調子はどうだァ。」
『少し、身体が動かしづらいですね。』
軽く腕を上げて答える。
不「薬が完全に抜けるまではここで療養だそうだァ。」
『どのくらいですかね…。』