第20章 事件
『く、すり…盛られ、て……。』
小さく呟くように伝える杏。
不「とりあえず、もう大丈夫だァ。
サクラ、少しいいか。」
サ「ワカッタワ!!」
不死川は優しく杏の背を撫で、壁へと寄りかからせる。
サクラに杏のことを頼み、不死川は真っ黒なオーラを背負いながら、自身の蹴りにより未だ伸びている隠の元へ向かった。
サ「杏!!良カッタ…無事デ…。」
目に涙をいっぱいに溜めているサクラ。
『ありがとう、サクラ…。あなたが不死川さん呼んできてくれたんでしょう??』
弱々しく話す杏にサクラは何度も頷く。
サ「遅クナッテゴメンネ…。
今爽籟ガ蟲柱呼ビニ行ッテルカラ。
モウ大丈夫ヨ。」
『うん。本当に、ありがとう。サクラ。』
今にも大泣きしそうなサクラに杏は優しく微笑んだ。
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そこからは大騒ぎだった。
爽籟により呼ばれたしのぶは血相を変え、屋敷に飛んできて杏を思い切り抱きしめる。
し「杏さん!!よく、ご無事で…。」
『しのぶさん…。』
弱々しい杏の声にしのぶは慌てて離れる。