第20章 事件
隠「え、わかりませんか??いくら女性とはいえ、流石に柱に本気で抵抗されたら敵わないですからね。」
『だからっ、』
聞きたかったことを答えない隠に思わず声を荒げる杏。
隠「俺は男ですよ。男が女性を動けなくしてすることなんて1つしかないでしょう。」
『………。』
ヒュッ、と喉がなりそうなのを必死に抑え、隠を睨みつける。
そのとき、視界の端にサクラが映った。
その姿を見た瞬間、腕に力を込め御膳を掴みながら立ち上がる。
その拍子に音を立てて転がる御膳とご飯。
その大きな音が鳴る瞬間に飛び立ったサクラを確認する。
隠は目の前の杏に夢中なようでサクラが飛び立ったことに気づいていない。
隠「流石は柱。動けるなんて凄いですね。
本来の量より多めに入れたんですよ。」
そう言いながら麻痺による震えで何とか立っている杏を見て気持ち悪く笑う隠。
『そうですね。思っていたより動けますよ。』
意識が朧気な小鳥遊を1度おろし、隠と対峙する。
普段であれば手刀1つ入れれば終わりだというのに、そんなことをできそうにないほど身体に力が入らない。
『薬は何であろうとも用量は守るべきですよ。』
ニコッ、と微笑んでみせる。
隠「やはりお美しい…。」