第20章 事件
『猫でも入り込んだのかしら…??』
そう呟きながらそっ、と押し入れを開ける。
『…!?』
すると、中から何か黒い塊がこちらに倒れ込んできた。
咄嗟に受け止め、全身を見てみると、手と足が縄で縛られており、意識がない。
『え、大丈夫ですか!?』
顔を見てみると、隠の覆面をつけていた。
『貴方…、小鳥遊さん…??』
見覚えのある顔に小さく呟く。
杏(え、なんで小鳥遊さんがこんなところに??
この様子だとかなりの間閉じ込められていたはず。
じゃあ………、先刻までいた隠は誰…??)
そのとき、小鳥遊がうっすらと目を開ける。
『小鳥遊さん!!大丈夫ですか!?
一体何が…、』
小「う、」
そう尋ねると、小さく呻き声を漏らす小鳥遊。
『すみません、失礼します。』
バッ、と覆面を取ってみると、縄を噛まされており、話せない状態だった。
『誰がこんな酷いことを…。』
スルスル、と噛まされていた縄を解く。
そのとき、
──ギシ
杏と小鳥遊しかいないはずの花屋敷に誰かの畳を踏む音が鳴った。
杏はバッ、と後ろを振り返る。