第20章 事件
杏(もしかして気づかないうちに何かしちゃったかしら。)
うーん、と唸りながら考える。
杏(でもご飯はもうできてたみたいだし、はやく出ましょう。)
台所に既に完成された食事があったのを思い出し、いつもよりはやくお風呂を出た。
お風呂から出て、髪の水分をとり椿油を塗りこむ。
夜の警備のため隊服に身を包む。
いつも通り、サイドハーフアップを小さくお団子を作り、杏の花の簪をさす。
黒の詰襟を片手に居間へと足を進めた。
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小「音白様。丁度、お食事の準備ができました。」
『ありがとうございます、小鳥遊さん。』
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いつもなら御膳を置く小鳥遊とこのような会話をするが、今日は居間に御膳があるだけで小鳥遊の姿がない。
杏(どこに行っちゃったのかしら…。)
首を傾げながらも御膳の正面に座る。
『いただきます。』
手を合わせ、いつも通り、最初に味噌汁を啜る。
杏(温かい…。)
温かい味噌汁に、ふぅ、と一息つく。
──カタン
そのとき、部屋に小さな音が響いた。
杏(……何の音??)
音が鳴った方を見てみるが、そこにあるのは押し入れだけ。