第19章 柱稽古
杏(…どこに仕舞っておこうかしら。)
部屋を見渡してしのぶから預かった遺書をどこに仕舞うか考える。
杏(絡繰棚…誰かに開け方教えないとダメよね…。)
ふと、目に入った絡繰棚を見て考える。
もし自分が死ねば開け方を知っている者がいなくなってしまう。
そうすれば、屋敷の遺品整理の際にあの部屋を無理やり開けて荒らされてしまうかもしれない。
杏(祈里さんと音羽さんが戻ったら教えましょう。)
そう考え、棚を動かす。
カタン、という音が部屋に響き、真ん中の引き出しを引く。
そして、鍵の入っている木箱と自身の遺書、その隣にしのぶの遺書をそっ、と置いた。
棚を元に戻したところでコンコン、と部屋の戸が叩かれる。
『はい??』
小「音白様。これから夕餉のご準備を致しますので先に湯浴みをどうぞ。」
『ありがとうございます。』
小鳥遊が部屋から離れていく足音を聞き、湯浴みのための準備をしてお風呂へと向かう。
湯船に浸かり、ふぅ、と息を吐いた。
杏(夜の巡回は不死川さんが迎えに来てくれるからそれまでに支度を済ませておかないと…。
隊士たちは蜜璃さんのところにいる祈里さんと音羽さんが先頭。2人は私を飛ばしていくから、隊士たちが私のところにくるのはもう少し先ね。
でもそろそろ食料の調達の準備をしないと…。)