第19章 柱稽古
し「杏さんのお姉さんたちの仇は上弦ノ弍。そして恐らく、私の姉、カナエの仇も上弦ノ弍です。」
『っ、』
しのぶの言葉に目を見開く杏。
し「杏さんは自身の手でなくても仇をとりたい、と言ってましたよね。しかし私は、私の毒で奴を葬りたい。」
そう話すしのぶの気迫に杏は言葉を発することができない。
し「そして、その第1の条件として私はその鬼に喰われて死ななければなりません。」
『…ぇ、』
思わず小さく声を漏らす杏。
し「姉からの情報によればその上弦ノ弍は女を喰うことに異様な執着があり意地汚らしい。」
『たしかに、そのような様子は見られました。』
その言葉に杏も今まで対峙した際の奴の言動を思い起こし、小さく頷く。
し「身体能力が高く、優秀な肉体を持つ“柱”加えて“女”であればまず間違いなく喰うでしょう。」
杏は瞳を不安げに揺らすが、しのぶは話を続ける。
し「私は藤の花の毒を摂取しており、現在、私の身体は血液、内蔵、爪の先に至るまで高濃度の藤の花の毒が回っている状態です。」
『そんな、いつから…??』
し「…柱となったころから、でしょうか。」