第17章 刀鍛冶の里-強襲
『止血してください…。まったく、無一郎くんも小鉄くんも…。』
しれっ、と答える小鉄に溜息をつく杏。
小「あと腹の方には…。」
小鉄はごそごそと服の中を弄り、あるものを取り出した。
小「炭治郎さんから預かってた鍔を入れてたので助かりました。新しい刀につけて欲しいって言われてたんですよ。」
『それは…煉獄さんの……。』
時「……。」
小鉄の手のひらには煉獄の使用していた鍔が乗っていた。
それを見た時透の脳裏に自分が柱になった頃、声をかけてくれた煉獄のことが蘇る。
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煉「柱として共に頑張ろう。」
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当時のことを思い出して涙が溢れる。
父(ほら、全部うまくいった。)
背に手を置き語りかける父。
その傍で寄り添う母。
時(父さん、母さん…。)
そして、正面に座り込む兄の姿。
有(頑張ったなぁ。)
生前には聞けなかった自分を労う優しい声。
涙がどんどん溢れて止まらない。
時(兄さん…。)