第17章 刀鍛冶の里-強襲
時(あの煮えたぎる怒りを思い出せ。最愛の兄に蛆が湧き、腐ってゆくのを見た。自分の体にも蛆が湧き始め、僕は死の淵を見た。運良く助けられなければそのまま死んでいただろう。記憶を失っても、体が覚えている。死ぬまで消えない怒りだ。だから僕は血反吐を吐く程、自分を鍛えて叩き上げたんだ。)
あの夜からのことを思い出しながら、玉壺へと向かって駆ける。
時(鬼を滅ぼすために。
奴らを根絶やしにするために!!)
玉「私の華麗なる本気を見るがい良い!!」
─ 血鬼術 斬殺魚鱗 ─
縦横無尽に動き回る玉壺。
玉「さぁどうかね!!私のこの理に反した動き!!鱗によって自由自在だ!!予測は不可能!!私は自然の理に反するのが大好きなのだ!!お前はどのように料理してやろうか!!醜い頭をもぎ取り美しい魚の頭を付けてやろう!!」
玉(お終いだ!!)
玉壺が時透の背後から殴ろうとした瞬間。
─ 霞の呼吸 漆ノ型 朧 ─
玉壺の拳は空を切った。
玉(消えっ…。)
すると別の箇所に時透の姿を見つけた。
玉(いや、あそこだ!!見つけた!!)
──ドゴォ
力一杯殴り付けるも、そこには既に時透の姿はない。
玉(いない!!あそこか!!)
ゆらっと、ゆっくりと動く時透の姿を見て玉壺はニヤリと笑う。