第17章 刀鍛冶の里-強襲
時「いや、単純に臭かったから。
鼻が曲がりそうだよ。」
ボトボト、と落ちる臭い魚をペッペッと払いのける。
ちなみに危なかった鋼鐵塚と鉄穴森は時透に蹴り飛ばされた。
玉壺は余裕綽々と、自身の能力について自慢を始める。
玉「どうだね、私のこの神の手の威力。拳で触れたものは、全て愛くるしい鮮魚となる。そしてこの速さ!!
「カァァァァー!!」
先刻からうるさい鴉がいるな!!…コホン。この体の柔らかくも強靭なバネ。更に鱗の波打ちにより縦横無尽、自由自在よ。」
自慢中に響き渡る鴉の鳴き声に怒る玉壺。
そして、ひとしきり自慢し終えた玉壺は震えながら顔を伏せ、何も言ってこない時透に対して、問いかける。
玉「震えているな。恐ろしいか??
先ほどの攻撃も本気ではない。」
時「…。」
その言葉に対し、ニヤリと笑みを浮かべながら時透は顔をあげた。
時「どんな凄い攻撃も当たらなかったら意味ないでしょ。」
鉄「いや、怖い怖い。笑顔が怖い。悪者みたい。正義の味方の笑顔じゃないですよ。」
影から見ていた鉄穴森はその笑顔に震えていた。
時(お館様の仰った通りだ。“確固たる自分”があれば両の足を力一杯踏ん張れる。自分が何者なのかが分かれば、迷いも、戸惑いも、焦燥も消え失せ、振り下ろされる刃から逃れられる鬼はいない。)
頭の中で言葉を紡ぐ。