第17章 刀鍛冶の里-強襲
時「そうだったね。鉄井戸さんが最初に俺の刀を作ってくれた。心臓の病気で死んでしまった…。」
鉄穴森は時透の額と頬に霞のような痣があるのを見て懐にある小瓶の存在を思い出した。
鉄「時透殿その痣…。あっ、そうです!!この薬を…!!音白殿より預かりました!!副作用を抑えるための薬だと…!!」
時「杏さんから…。副作用…そうか、あれか。ありがとう。」
そう言い、鉄穴森から受け取った小瓶の中の薬をグイ、と飲む。
すると、身体がすごく軽くなったように感じた。
時(…何だろう。元々身体が軽かったのが更に軽くなった。それに、なんとなくあった負荷が殆どなくなった。)
自分の手を見つめながらそんなことを考える。
そんな様子を見ていた玉壺は鼻を鳴らす。
玉(ふん。何本刀を取り替えようが変わらない。何を飲んだのかは気になるが…まぁいい。)
しかし、玉壺には分からずとも、刀を手に持った時透はその違いをひしひしと感じ取っていた。
時(ああ、しっくりくる。)
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鉄「儂は心配だよ、坊や。誰がわかってくれようか。お前さんのことを。お前さんがどれだけ手一杯か。どれだけ限り限りと余裕がないか。物を覚えていられんことの不安がどれだけか。そして血反吐を吐くような努力を、誰が分かってくれようか。儂はお前さんが使った刀を見ると涙が出てくる。儂はもう長くはない。命を惜しむ歳ではないが、どうにもお前さんが気がかりじゃ。」
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