第17章 刀鍛冶の里-強襲
そんな時透に小鉄がか細い声で話しかける。
小「時透さん…お、俺のことはいいから…鋼鎧塚さんを…助けて…刀を…守って……。」
ぽたぽたと、髪から垂れた雫が落ちていく。
時(両親が死んだのは10歳の時だ…。10歳で僕は1人になった。)
その瞬間、今まで忘れてしまっていた大切な人を思い出した。
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時(…いや、違う。1人になったのは11歳の時だ。僕は双子だった。僕の兄は有一郎といった。)
蘇ってくる失くしていた記憶。
父と母が死に、冷たい言葉を吐く兄、有一郎。
時(記憶のない時の僕は何だか兄に似ていた気がする。)
息が詰まるような暮らしの中、春頃にお館様の御内儀、あまね様が家を訪れた。
白樺の木の精だと見間違うほどに美しいあまね様。
そこで初めて知った鬼のこと、鬼殺隊のこと。
そして、自分たちが始まりの呼吸を使っていた剣士の子孫だったということ。
ただの杣人になるのだと思っていた自分たちに隠れた才能があるのでは、と胸が踊った。