第17章 刀鍛冶の里-強襲
そう思った瞬間、小鉄が水の膜の外から時透へと空気を送り込んだ。
──ブクブク
戦う力を持たない無力な彼小鉄なりの、時透を助けようと考えた方法だった。
その小鉄の思いは空気の粒となり時透へと入っていく。
そんな時透の脳裏に、再び霞がかかっている炭治郎が語りかけてきた。
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「人のためにすることは巡り巡って自分のためになる。そして人は自分ではない誰かのために信じられないような力を出せる生き物なんだよ、無一郎。」
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最後には炭治郎ではない、しかし、彼と同じ赤い瞳の男性の顔が見えた。
時(うん、知ってる。)
戦う力のない無力な小鉄が自分の命を省みず、懸命に時透を助けようとしてくれた。
その与えてくれた空気を使い、今度は自分が小鉄を守るため、そして杏を救うため、日輪刀の柄に力を込めた。
─ 霞の呼吸 弐ノ型 八重霞 ─
時(思い出したよ、炭治郎。
僕の父は君と同じ赤い瞳の人だった。)
──バシャア
先ほどの突き技でも斬れなかった水の膜が破れた。