第17章 刀鍛冶の里-強襲
振り返った杏と鉄穴森の視界に映ったのは、先刻斬った壺とよく似た壺からでてきているなんとも言えない、気持ちの悪い姿形をした鬼だった。
杏(この気配…あの巨大金魚の本体ね。目は…
…??いや、額に上弦。口に伍とあるわね。)
鉄穴森を自身の後ろに下げながら、鬼に冷たい視線を向ける。
『上弦ノ伍…ですね。』
しかし、口を開いたときにはいつも通りの笑顔を浮かべる。
玉「ヒョッヒョッ。
その通り、初めまして、私は玉壺と申す者。」
ユラユラと揺れながら話す玉壺。
このとき、杏と鉄穴森の思考は一致した。
杏.鉄((気持ちわるっ!!))
鉄穴森はわかりやすく指をさし、杏は笑顔のまま表情を変えない。
『…ご丁寧にどうもありがとうございます。
…して、1つお聞きしてもよろしいですか??』
玉「なんだ??」
右手を上げながら笑顔のまま質問の許可を請う。
意外にもあっさりと許可してくれた玉壺。
『何故、額と口に数字があるのですか??』
鉄(それ聞いちゃうんだ…。
気になるのはわかるけど。)
質問する杏をポカーンと眺める鉄穴森。