第17章 刀鍛冶の里-強襲
杏(頸を斬っても消えない。
つまり、他に急所があるということ…。)
巨大な金魚の全体像を観察し、ある一点に目を向ける。
杏(怪しいのは…あの上にある壺ね。
この金魚が現れる前に見た壺と似てる。)
巨大な金魚の上にある先程見た壺と似た壺に狙いを定める。
グッと膝を曲げ、上へと飛び上がる。
──ガシャンッ
壺へ思い切り小刀を振り下ろし、派手に割る。
すると、ボロボロと崩れていく巨大な金魚。
杏(壺が急所で正解だったわね。…でも、)
トッ、と着地した杏に駆け寄る鉄穴森。
鉄「素晴らしかったです…!!
流石は桜柱ですね!!」
興奮気味の鉄穴森に小さく微笑んでお礼を言う。
『…ありがとうございます。
しかし、油断はできません。
恐らくあの金魚は鬼本体ではない。
近くにあの金魚を操る鬼がいるはずです。』
鉄「そ、そんな…。」
お礼以外は辺りを見渡しながら真顔で告げる杏に怯える鉄穴森。
玉「ヒョッヒョッヒョッ。
その通りだ、鬼狩りよ。」
突然の背後からの声にバッ、と振り返る杏と鉄穴森。
鉄「お、鬼っ…!!」
『……上弦。』