第17章 刀鍛冶の里-強襲
鉄「お、音白殿…。」
震えた声で杏を呼ぶ。
『…鬼です。すみませんが、今の私には日輪刀がないので鬼を滅することができません。なのでできる限り私から離れないでください。』
鉄「は、はい。あ、そうだ…。小刀ですが、よかったら使ってください。これも玉鋼から作った日輪刀です。」
『っ!!…ありがとうございます。』
鉄穴森から差し出された日輪刀の小刀を受け取り、鞘から取り出して少し微笑む。
杏(上弦の鬼には無力かもしれないけれど、雑魚鬼相手なら呼吸の斬撃で斬れるわ。)
ふぅ、と息を吐き小刀を構える。
──ガサッ
鉄「き、金魚の怪物…!?」
小さな音と共に現れた巨大な金魚の怪物。
─ 桜の呼吸 漆ノ型 彼岸桜 ─
すぐさま巨大金魚の頸を斬り落とす杏。
鉄「おぉ…!!」
柱の鮮やかな鬼殺を見て感嘆の声を漏らす鉄穴森。
しかし…、
『……消滅しない??』
鉄「そんなっ…!!」
頸を斬ったにも関わらず今もなお動いている巨大な金魚の怪物。
斬られたはずの頸が再生していく。
激しく動揺する鉄穴森の前で冷静に分析する杏。