第17章 刀鍛冶の里-強襲
走りながらこの厳しすぎる状況に眉間にしわを寄せ、頭を悩ませる。
鉄「もうすぐです!!」
鉄穴森の声に顔を上げる。
そして、周囲を見渡したときにあることに気がつく。
杏(なんでこんなところに壺が…??)
森の中に置かれている不自然な壺を見て足を止める。
鉄「音白殿??どうなさいました??」
突然立ち止まった杏に首を傾げながら尋ねる鉄穴森。
『…鉄穴森さん、私のそばに。』
鉄「は、はいっ…!!」
真剣な顔で周囲を警戒しながら自身を呼ぶ杏に何かあったのだろうと察し、急いで駆け寄る。
鉄「あの、音白殿…。一体何が…??」
『…っ!!』
鉄穴森が杏に声をかけた瞬間、杏は鉄穴森の方へバッ、と身体を向ける。
そんな杏に思わずビクッと身体を震わせるもすぐに杏に腕を引かれ、背後へと移動させられる鉄穴森。
──シュッ
杏の背後へと移った瞬間、空を斬る音がして首を傾け、振り返る鉄穴森。
鉄「…??……っ!!」
先程まで自分がいた場所に大きな切り傷のようなものができていた。
あのままその場にいたらどうなっていたのか…、そう考えるだけで顔から血の気が引いていく鉄穴森。