第16章 刀鍛冶の里
修行では、炭治郎が特に大変そうだった。
3人の中では1番階級も低く、実力も劣るためだろう。
杏(炭治郎くんに声かけられるかしら…。)
そう不安に感じつつも、行かないわけにもいかないため屋敷を出る。
サクラと話しながらゆっくりと向かっていた。
様子を見に行ったときにいた場所はいつも同じだったため、そこに向かっていると何やら揉めている声が聞こえてきた。
杏(…なにかしら??)
不審に思い、少し早足で声のする方へと向かう。
茂みからこっそり覗いてみると、炭治郎とお面をつけた筋骨隆々の大男が刀を奪い合っていた。
炭治郎が持っていかれそうになる刀を必死に掴み、小鉄と祈里、音羽も困惑しながらも大男をとめている。
任せろ…、任せろ…、とだけ何度も言っている大男。
思わず呆けてしまったが、慌てて茂みから飛び出す。
『何をしてるんですか!?』
祈.音「「杏さま!!」」
大男を羽交い締めにするため、背中に飛び乗る。
『みんな離れてください…!!』
見た目通り、大男は腕も首も太いため、杏の腕では羽交い締めもぎりぎりだったが、なんとか動きを抑え込む。