第16章 刀鍛冶の里
木の上の方の枝の上で蹲っている小鉄。
鬼殺隊の隊士でもない小鉄が登るのは大変だっただろう。
炭「俺にできることがあれば手伝うよ!!人形のこと!!諦めちゃだめだ!!」
下から必死に叫ぶ炭治郎。
しかし、小鉄から反応はみられない。
炭「君には未来がある。10年後20年後の自分のためにも今頑張らないと。今できないこともできるようになるから。」
小「……。」
目の前の木から顔を離さない小鉄。
小「…ならないよ。自分で自分が駄目な奴だってわかるもん。俺の代で…俺のせいで全部終わりだよ。」
木から顔を離し、涙を拭う小鉄。
涙を拭った手を顔から離すと、目の前に炭治郎と炭治郎の手がきていた。
──ビチッ
小「あいたっ!?」
炭治郎のデコピンが顎に直撃し、思わず声を上げる小鉄。
炭「投げやりになってはいけない。自分のことをそんな風に言わないで欲しいですわ…。」
小(音もなくきてた…。これが剣士…。)
目の前の、自分とは違う枝に片手でぶら下がっている炭治郎に驚く小鉄。
『そうですね。そう自分を卑下してはだめですよ??』
背後から聞こえた声に小鉄が驚いて振り返ると、自分と同じ枝に座わって微笑む杏がいた。