第16章 刀鍛冶の里
『無一郎くん…。』
小「さっきの人がもう…。」
杏と小鉄だけ、何の音かを瞬時に把握する。
『…行きましょうか。小鉄くん、案内していただけますか??』
小「はいっ。こっちです。」
ザザッ、と茂みをかき分けながら音のする方へと向かう。
──ギャギャギャギャ
祈「…見えない。」
目視できない程の打ち合いを繰り返している時透と絡繰人形。
杏(あら??あの耳飾り…確か…。)
炭「……。」
無言で見入る炭治郎を杏はチラリ、と横目で見る。
小「あれが…俺の祖先が作った戦闘用絡繰人形。
縁壱零式です。」
音「すごい、動き、ですね…。」
目を見開き、絡繰人形を見つめたまま動かない炭治郎。
冷や汗が流れ落ちる。
炭(知ってる、俺─…。見覚えがある、あの顔。)
炭「手が…6本あるのは何で??」
小「腕ですか??父の話によると…」
炭治郎に問われ、父の話を思い出す小鉄。
小「あの人形の原型となったのは実在した剣士だったらしいんですけど、腕を6本にしなければその剣士の動きを再現できなかったからだそうです。」
左側の額が割れており、確かに壊れそうだ。
炭(知ってる気がするけどわからない…。)
炭治郎は奇妙な既視感を覚えて、小鉄に次々に質問を飛ばす。