第16章 刀鍛冶の里
自身の首に手刀を当てるふりをする音羽。
『…そういうことですか。』
杏は手を額に当てる。
杏(そうよね。無一郎くんと炭治郎くんが衝突しちゃうかもなんて分かりきってたことじゃない。炭治郎くんは優しいけど、納得いかないことなら全力で歯向かうって柱合裁判でも、蝶屋敷でも見たじゃない…。迂闊だったわ…。)
はぁ、と溜息をつく。
『えっと、その揉めた原因は??』
気を取り直して状況の確認に戻る。
祈「この子が霞柱さまになにか渡すように言われていて…抵抗していたら実力行使に出られて炭治郎さんが止めに入られたんです。」
『私は鬼殺隊の桜柱の音白杏です。
…あなた、お名前は??』
どうやら問題の渦中の人物だったらしい少年に名前を尋ねる。
小「小鉄です。」
『小鉄くん。あなたは無一郎くんから何を守っていたの??』
少年の警戒心が解けるよう、出来る限り優しく微笑む。
小「…絡繰人形の、鍵です。」
『絡繰人形の…。あれか…。』
戦闘訓練を行うために利用する刀鍛冶の里の絡繰人形のことは杏も聞いたことがあった。
『音羽さん、炭治郎くんの容態はどうですか??』