第16章 刀鍛冶の里
それからは、音羽が目覚める前に時透は温泉に向かい、音羽が目覚めてから帰ってきた時透を加えた5人で夕餉をとり、それぞれの部屋で休んだ。
約1週間ほどの里でののんびりとした生活で杏の精神状態もかなり落ち着いてきていた。
姉たちの遺品はすべて花屋敷に置いてきていたが、特に禁断症状がでることもなく過ごせている。
柱としての書類仕事はあるが、それ以外はゆっくり過ごすか、祈里と音羽の鍛錬に時間を割いていた。
時透と甘露寺はいつも何処かに行っていて朝と夜にしか会えていないが、元気に過ごしている。
柱が3人も一気に里に来ていては残った柱たちは大変だろうな、と感じつつも里でのゆっくりとした時間を楽しんでいた。
そんなある日、いつも通り祈里と音羽と鍛錬を行っていると、風にのってやまびこが聞こえてきた。
祈「やまびこ……。誰か来たのでしょうか。」
『そうみたいですね。…ふふっ、“感謝のやまびこ”、といったところでしょうか。』
杏は何度も響き渡る“ありがとうございました”の声に楽しそうに笑う。
『さて、そろそろ夕餉でしょうし戻りましょうか。』
音「はい。」