第16章 刀鍛冶の里
『でも本当にすごく気持ちいいんですよ。』
階段を上りきり、温泉に無事到着する。
中に入ってみると、先客がいるようだった。
『あら、誰かいますね。』
脱衣所の籠の中に布があるのが見えた杏が呟く。
祈「どうしましょうか。
殿方だった場合、ちょっと…。」
『そうですね…。あら、あれは…。』
籠の中に鮮やかな黄緑色のものが見えた。
『…入りましょうか。』
ニコッ、と笑ってそう言う杏に2人はえっ!?と驚く。
さぁさぁ、と杏に急かされ、それぞれ身体にたおるという西洋の手ぬぐいを巻きつける。
音「本当に大丈夫なのですか??」
『えぇ。さぁ、行きましょう。』
──ガラッ
不安そうにしている2人を背に戸を引く。
祈里と音羽がこっそりと中を覗き込むと、湯けむりの奥に人影が見えた。
「あら??もしかして杏ちゃん??」
その人影から鈴のなるような綺麗で可愛らしい声が聞こえてくる。
『はい。お久しぶりです、蜜璃さん。』
蜜「よく私だって分かったわね!!流石だわ!!」
『蜜璃さんの靴下が見えましたから。』
きゃっきゃっとはしゃぐ甘露寺。