第15章 上弦ノ月
半「ヒィィッ!!御許しくださいませ、どうかどうか。」
震えながら額を床にこすりつける半天狗。
猗「…………。」
猗窩座は無言で頭を垂れる。
黒「返す…言葉も……ない…。
産屋敷…巧妙に…姿を…隠している。」
黒死牟は少し俯き、小さく溢す。
童「俺は探知探索が不得意だからなぁ。
如何したものか……。」
珍しくシュン、と凹む姿をみせる童磨。
玉「無惨様!!私は違います!!」
4匹の上弦ノ鬼たちが俯く中、ただ1匹、玉壺だけは鬼舞辻無惨をまっすぐに見上げ、声高高に叫んだ。
玉「貴方様の望みに一歩近づくための情報を私は掴みました。ほんの今しがた…」
そこまで言ったところで玉壺はおかしな状況に気づいた。
無「私が嫌いなものは“変化”だ。」
自身から見える鬼舞辻無惨の顔が上下逆さまになっていたのだ。
無「状況の変化。肉体の変化。感情の変化。
凡ゆる変化は殆どの場合“劣化”だ。衰えなのだ。
私が好きなものは“不変”。」
玉(無惨様の手が私の頭に!!
いい…とてもいい……。)
頸を切られ、頭を逆さまに鬼舞辻無惨の手に乗せられている玉壺。
冷汗を流しているが、怖がるどころか興奮している。