第15章 上弦ノ月

鬼舞辻無惨はさらさら、と本に何かを書きながら話を続ける。


無「初めから妓夫太郎が戦っていれば勝っていた。そもそも毒を喰らわせた後まで戦い続けず……
いや、もうどうでもいい。」


上弦ノ鬼たちに視線を一切向けずに淡々と話す鬼舞辻無惨。


無「くだらぬ。人間の部分を多く残したものから負けていく。だが、もうそれもいい。
私はおまえたちに期待しない。」


童「またそのように悲しいことをおっしゃいなさる。俺が貴方様の期待に応えなかった時があったでしょうか。」


命知らずな童磨がすぐさま返事を返すが、やはり鬼舞辻無惨は視線を向けない。


無「産屋敷一族を未だに葬っていない。
“青い彼岸花”はどうした？？
童磨、お前はあの娘のもとにいたのだろう？？」


童「あと一歩というところでここに落ちてきてしまいまして…。いやはやお恥ずかしい。」


頭を掻きながら恥ずかしげに言う童磨。


無「まぁ娘はいい。まだチャンスはある。
しかし、産屋敷と“青い彼岸花”はなぜ何百年も見つけられぬ。私は─…貴様らの存在理由がわからなくなってきた。」


ビキキ、と青筋を立てながら怒る鬼舞辻無惨。