第15章 上弦ノ月
猗窩座の額にはビキッと青筋が立つ。
鳴「上弦ノ壱様は最初に御呼びしました。
ずっとそこにいらっしゃいますよ。」
猗「!!」
猗窩座がバッ、と鳴女が示した方向を向くと、半分上がった御簾の向こうにその姿があった。
黒「私は…ここにいる…。」
上弦の中で最強の鬼、上弦ノ壱である黒死牟。
黒「無惨様が…御見えだ…。」
猗「!!」
黒死牟の静かな言葉に童磨、猗窩座、玉壺は鬼舞辻無惨の姿を探し、見上げる。
半天狗はヒィィィィと言いながら額を床にこすりつける。
──ピチョン
無「妓夫太郎が死んだ。上弦の月が欠けた。」
なにやら実験をしているように見える鬼舞辻は静かに妓夫太郎の死を告げた。
童「誠に御座いますか!!それは申し訳ありませぬ!!妓夫太郎は俺が紹介した者故…」
童磨はニヤー、と笑いながら、謝罪をするが、全く悪いと思っている顔ではない。
童「どのように御詫び致しましょう。
目玉をほじくり出しましょうか。それとも…」
それどころか、わくわくとしながら己の目を差し出す提案を始める。
無「必要ない、貴様の目玉など。妓夫太郎は負けると思っていた。案の定、堕姫が足手纏いだった。」