第14章 刀鍛冶の里-出立
どうしたものか、と額に手を当てていると、
──トントン
戸を叩く音が聞こえた。
杏(サクラじゃないわね。
祈里さんか音羽さんかしら??)
音からそう予想を立てて、立ち上がる。
『どうしました??』
祈「杏さま、お客様で…」
時「お久しぶりです、杏さん。」
祈里が最後まで言い終わる前に隣りにいた人物が言葉を遮る。
『無一郎くん…!!』
まさかの人物に驚き、目を見開く。
『どうしたんですか??』
時「杏さんが引きこもってるって聞いたから。」
『………返す言葉もないですね。』
気にしていたことをズバリ言われてしまい、苦笑いを溢す。
『とりあえず、お茶でもどうですか??』
時「ううん、今日は時間ないんです。」
『急ぎの任務ですか??』
いつもならお茶を出すと聞けば、お茶菓子を聞いてくる時透がふるふると首を横に振るので更に驚く。
時「お館様から許可を頂いたから杏さんを呼びに来たんです。」
『え??』
よくわかっていない杏の手を取り、ちょっと怖い感じでニコッ、と笑う時透。
時「刀鍛冶の里、行きましょう。」