第14章 刀鍛冶の里-出立
── 沢山の花びら 私の心に
ひらり ひらり 舞い降りてゆく
部屋に響く美しい歌声。
杏(百合姉さん、椿姉さん、紅葉姉さん……。)
── 1枚1枚の想い出 みんなの心に
ふわり ふわり 舞い降りてゆく
花びらが 私たちを 包んでくれた
『…何してるのかしら、私………。
まるで引きこもりね。』
歌い終わり、部屋を見渡して溜息をつく。
自身でもこの部屋に入り浸りすぎていることはわかっている。
しかし、それでも………
杏(この部屋にいると心が休まる…。
姉さんたちに囲まれてる気がする。
もう、姉さんたちと離れたくない…。)
3つの髪飾りを優しく抱きしめる。
杏(大丈夫よ。この部屋にいないときも姉さんたちは私のことを見ててくれる。そばにいてくれる。約束したもの。私は鬼殺隊の桜柱よ。いつまでもこんなところで立ち止まってなんかいられない。)
必死に自分に言い聞かせる。
もうずっと、同じことを繰り返していた。
毎日毎日、同じように自分に言い聞かせて部屋を出る。
しかし、次の日には自然とこの部屋に足が向かっていた。