第13章 記憶
『おめでとうございます。』
わぁっ、と喜ぶ祈里と音羽をニコニコしながら眺める杏。
『甲まではあと1つですね。』
祈「はい!!これからも精進致します!!」
音「そういえば、杏さまの藤花彫りはどうなってるんですか??」
『私のですか??』
音羽からの疑問に杏はキョトンとした表情を浮かべる。
音「はい。柱の方々はどのようになっているのか気になっていまして…。甲ではありますけど、そのままだと他の甲の隊士と区別がつかないでしょうし。」
『あぁ、そういうことですか。
柱はそれぞれの柱名が現れますよ。』
そう説明し、右手を掲げる。
『階級を示せ。』
──ズズッ
祈「わぁ…。」
音「本当ですね…。」
杏の手の甲には藤花彫りの“桜”の文字が浮かんだ。
『私なら“桜”。不死川さんなら“風”。しのぶさんなら“蟲”、蜜璃さんなら“恋”、というようになってます。』
祈「本当に藤花彫りは不思議ですね。」
祈里と音羽は興味深そうに杏の手の甲を覗き込む。
『いつかはお2人の手の甲にも“花”と“風”の文字が浮かびますよ、きっと。』