第13章 記憶
祈「本当ですか!?」
音「良かった…。」
ぱぁぁぁっ、と表情が明るくなる祈里とホッ、と胸をなでおろす音羽。
『彼はかなりの重症だったのでしょう??
目が覚めて何よりですね。』
祈「はい。嘴平さん、心臓の近くを鬼に刺されたんです。」
『え、なんで無事だったんですか…??』
音「心臓の位置をずらしたそうです。身体が柔らかくて関節も外せるそうですよ。」
『…人間業じゃないですね。』
若干引き気味の杏を見て祈里と音羽も小さく頷く。
それからしばらく伊之助のトンデモ話をしていたが、杏は先程聞こうと思っていたことを思い出した。
『そういえば、お2人の階級は今どうなってますか??』
祈「階級ですか??」
『はい。上弦ノ陸の討伐に貢献しているわけですし上がってないかなー、と思いまして。』
音「確かにそうですね。」
祈里と音羽はコクン、と頷き、それぞれ右手を掲げ互いに目を合わせると同時に口を開いた。
祈.音「「階級を示せ。」」
──ズズッ
2人の手の甲には藤花彫りの“乙”の文字が浮かんだ。
祈「乙!!」
音「上がってます!!」