第13章 記憶
木箱と2通の文を手に書斎へと入る。
サ「私モ、アノ部屋ニハ踏ミ込メナイワ。
モウシバラク様子ヲ見マショウ。」
祈「…そうですね。」
音「行きましょうか。」
祈里と音羽は杏の書斎に名残惜しげに視線を送るが、すぐに逸し家事に戻っていった。
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『さて、とりあえずお館様からの文を…。』
書斎に入り、机の上に木箱と2通の文を置く。
その中からお館様からの文を手に取り読み始めた。
『…これは、困ったわね。』
眉間に皺を寄せ、考え込む。
内容は先の任務で炭治郎におこった異変について。
杏(“痣者”…。発現すると攻撃や移動の速度が上昇したり、一般的には考えられないほどの早さで鬼から受けた傷が修復したり、身体能力が飛躍的に上がる。鬼と闘うには是非とも身に付けたいけどその代償が大きすぎるわ。)
お館様から教えていただいた事実に頭を押さえる。
杏(姉さんたちとの約束守れなくなっちゃうわ。
炭治郎くんもこれからも禰豆子さんと生きていかねばならないのに…彼は15歳。あと10年…。)