第13章 記憶
祈里と音羽も追いつき、サクラの後ろに横に並ぶ。
──カラカラ
『どうしたの??サクラ。』
白黒の道着に身を包んだ杏が部屋から顔を出す。
サ「貴方ヲ探シテタノヨ。ホラ、蟲柱カラノ文ヨ。」
『ありがとう、サクラ。』
サクラから文を受け取る杏。
祈「杏さま、お館様からの文も先程届きました。」
『お館様から…!!
ありがとうございます、祈里さん。』
祈里の手から文を受け取り、部屋から出てくる。
カチャリ、と鍵を閉め木箱に入れた。
サ「ソノ部屋ニ入ラレルト見ツケルノ大変ナノヨ??」
『そうかしら??』
サ「私ハイイケド祈里ト音羽ハ遠慮シチャウノヨ。」
『そうだったんですね。戸を叩いてくれれば出てきますから遠慮しないで大丈夫ですよ。』
サクラがすべて言ってくれ、杏は祈里と音羽に笑顔で大丈夫ですよ、と告げる。
祈「しかし……」
『本当に大丈夫ですから。もうしばらくはこの部屋に入り浸るでしょうけどいつでも呼んでください。』
祈「…わかりました。」
杏に押し切られる形で返事をする。
『では私は文を読んできますね。』