第13章 記憶
サ「コノ時間ナラ道場ジャナイノ??
部屋ハ??」
祈「いらっしゃいませんでした。」
サ「アラージャア彼処カシラネ。」
ドウシマショウカネー、と言うサクラに音羽は首を傾げる。
音「サクラはわかるのですか??」
サ「エェ。」
祈「流石ですね…。」
当然でしょ、とでも言いたげなサクラの様子に感嘆の声を漏らす。
サ「多分アノ部屋ヨ。道場ニモ部屋ニモイナキャ彼処シカナイワ。」
祈「あの鍵の…。」
サクラから教えてもらった杏がいるであろう部屋。
杏が目覚めた次の日には部屋のことを教えてもらった祈里と音羽。
それでもやはり、入室は許可されなかった。
音「どうしましょうか。
蟲柱さまの方は急ぎですか??」
サ「ワカラナイワ!!
貴方タチハドウシテ杏ヲ探シテルノ??」
祈「お館様から杏さま宛の文が届いたのです。」
サ「アラ、ジャア呼ビニ行カナキャネ。」
大変、大変、と言いながらパタパタと飛んで鍵の部屋へと向かうサクラ。
祈里と音羽も慌てて追いかける。
──トントン
サ「杏ー!!」
サクラは嘴で器用に戸を叩き、杏の名前を呼ぶ。