第13章 記憶
はぁぁぁぁぁ、と先程とは比べ物にならない大きな溜息をつく。
『…とりあえず、しのぶさんからお許しが出るまでは大人しくしておきます。』
杏のその言葉を聞き、ほっ、と胸をなでおろす祈里と音羽。
祈「とりあえず、お召し物を替えましょう。
身体もお拭きいたします。」
『身体は自分で拭きますね。
手ぬぐい貸していただけますか??』
祈「はい。」
先程なんとか落とさずにすんだ水桶に入っていた手ぬぐいを絞り、杏に手渡す。
音「では、私も洗濯に戻ります。」
ぶちまけてしまった洗濯物を拾い集め、音羽は部屋を出る。
祈里の手を借りながら身体を拭き終え、休んでいると屋敷にきれいな声が響いた。
し「ごめんくださーい。」
杏(しのぶさんだ。はやかったわね…。)
身体をゆっくりと起こす。
──カラッ
し「失礼します。」
音羽に案内され、しのぶが部屋へ入る。
『お久しぶりです、しのぶさん。
お手間おかけして申し訳ありません。』
し「いえ、気にしないでください。
事情は緊急の柱合会議で聞いてますから。」
そう言い、しのぶは杏の首や手首などに触れる。