第13章 記憶
しばらく世話になるとか言っていた不死川の姿が見えないことに気づき、鴉たちを見送る2人に尋ねる。
祈「風柱さまは私たちが屋敷に戻ってきた次の日に帰られました。」
音「私たちが戻ってきたなら護衛は必要ないっておっしゃられて…。」
『…そう。』
祈里と音羽の返事を聞き、目を瞑ってはぁ、と息を吐く。
『…ありがとうございます。さぁ、任務に戻れるように動かなくてはいけませんね。』
祈「何をおっしゃっているんですか!?」
音「蟲柱さまのお許しが出るまでは絶対安静です!!」
んー、と伸びをして立ち上がろうとする杏を祈里と音羽が慌てて止める。
『……でも、この間に引き続きかなり休んでしまいましたし、』
祈「杏さまの分の任務は風柱さまが代わりに請け負ってくださっているそうです。」
お館様にご迷惑が…、と続ける杏に祈里が驚きの事実を口にする。
杏は目を見開き、ゆっくりと口を開いた。
『それは、本当ですか…??』
音「はい。私たちにもやらせてくださいとお願いしたのですが…聞き入れてくださらなくて。」
祈里も音羽も切なげに目を伏せる。
『本当に…あの人は………。』