第13章 記憶
その言葉とともに光の方へと走り出す。
ゆ「ありがとう、杏ちゃん。
私たちも大好きよ。愛してるわ。」
静かに涙を流しながら遠ざかってゆく愛おしい妹の背中を3人は見つめ続けた。
────────
──────────────────
──パチッ
目を開けると見慣れた天井が広がる。
ゆっくりと起き上がり、伸びをする。
『…結構身体固まってるわね。
また長く寝ていたのかしら。』
自身の手のひらを眺めながら小さく呟く。
しばらくぼーっ、としていると部屋の外から人の気配がしてそちらを見つめる。
い「杏さま、失礼いたします。」
コンコン、と襖を叩き祈里が部屋に入る。
『祈里さん、お久しぶりです。』
い「え…??あ、きゃっ、」
祈里は杏が声をかけると驚き、手に持っていた桶を落とす。
『あら、大丈夫ですか??』
祈「だ、大丈夫です。って、それより!!
音羽さん!!杏さまが目を覚ましました!!」
なんとか落ちる桶を床に辿り着く前に掴む。
律儀に返事をするが血相を変え、部屋の外にいる音羽を大声で呼ぶ。
──ガタンッ
音「っ、杏さま!?わっ、」