第13章 記憶
『百合姉さん…??』
ゆ「でもね、1つだけ覚えておいてほしいの。」
『……??』
優しく微笑んでいた百合の表情が真剣なものになる。
ゆ「あなたに生きていてほしいと願う人がいるのを決して忘れないでほしいの。あなたの命を蔑ろにしないで。たとえ難しくとも生きることを諦めないでほしいの。1人で闘おうとしないで。周りに頼っていいの。今の杏ちゃんには頼れる仲間が沢山いるでしょう??」
『百合姉さん…。』
百合の後ろで見ていた椿と紅葉も百合の隣に並ぶ。
つ「杏もその人たちに生きていてほしいと思うでしょう??」
『うん、思う。』
も「だったら、その人たちも杏に死なないでほしいと思ってるはずよ。きっと、手を伸ばせばその手をとってくれるわ。皆、優しい人たちでしょう??」
『うん。顔が怖い人もいるけど皆優しい。』
涙に濡れる瞳で姉たちを真っ直ぐに見つめる杏。
桜柄の綺麗な着物から元の隊服姿に戻っていく。
ゆ「何かを達成しようとするのに自分の命をかけなくていいの。達成したあとも生きていなきゃね。」
ニコッ、と笑う百合。
『うん。わかったわ、百合姉さん、
椿姉さん、紅葉姉さん。』