第13章 記憶
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『真っ暗な所……。これは夢かしら??』
瞼を開けた杏は真っ暗な空間に立っていた。
自身の姿を見て、隊服姿なことを確認する。
杏(隊服…。日輪刀はないわね。
それなら任務中じゃないのかしら。
血鬼術ではないようね。嫌な感じもしないし。)
辺りを見渡し、現在の状況を整理する。
杏(というかそもそも何をしていたのかしら。
確か…姉さんたちのことを思い出して、お館様にご報告して、屋敷に戻って……そっか、不死川さんに話して疲れて寝たんだっけ。てことはやっぱり夢ね。)
うーん、と考えこれが夢の中であることを理解する。
どこもかしこも真っ黒な空間の上を眺めて小さく呟く。
『しかし……どうしてこんなに暗いのでしょうか??』
?「杏ちゃん。」
『…………え??』
背後から聞こえた懐かしい声に目を見開く。
杏(…そんなの、ありえない。
でも、もしかしたら…)
頭に浮かぶありえない仮定に頭を振り、否定するも僅かな希望を抱き、ゆっくりと振り返る。
その瞬間、ぎゅっと体を抱きしめられる。
?「杏。」
?「杏。」
?「杏ちゃん。やっと、やっと会えたわね。」