第13章 記憶
ふふっ、と笑う杏。
『たしか…18歳までにはって思ってたので今ならあと2年ですね。ちょっと無理そうですけど…。』
不「大体あと1年半ぐらいだな。
まだどうなるかわかんねぇだろォ。」
『そうですかね…。』
髪紐を撫でながらふふ、と笑う杏。
『百合姉さんは夏生まれ。だから名前は百合です。あのときは漢字とかわからなかったですけど、今考えてみれば4姉妹みんな漢字ちゃんとあったんですよ。』
不「ま、9歳なんてそんなもんだろォ。」
不死川の言葉にニコッ、と笑顔を見せ、次に隣の髪留めに触れる。
『この椿の花の髪留めは椿姉さんのものです。椿姉さんは18歳で、生きてたら25歳ですね。椿姉さんは肩で切り揃えられた髪型で毛先はほんのり赤色に染まってました。とても素敵で、百合姉さんに負けないくらい縁談の話あったんですよ。でも、百合姉さんが結婚してないんだから私もしないって言ってました。それじゃ私たち誰も結婚できないんじゃーって思ってました。』
まるでその言い合いをしている姉2人を見ているかのように笑う。
『椿姉さんが主にお店のお金の計算してたんですけど、厨房担当の百合姉さんとよくお金の話してました。私はよくわからなかったので紅葉姉さんに遊んでもらってました。』