第13章 記憶
『不死川さん、少し付き合っていただけますか??』
花屋敷へ着いてすぐ不死川の方へと振り返り、そう尋ねる。
不「大丈夫だァ。」
『ありがとうございます。では、こちらへ。』
不死川からの返事に小さく微笑むと屋敷の奥へと足をすすめる。
そして、ある部屋の前で立ち止まる。
不「オィ、この部屋…」
『えぇ、私の自室です。ご存知でしょう??』
お互いの屋敷の構造を知り尽くしている2人。
しかし、確かに構造は知り尽くしているが、不死川は杏の書斎に入ったことはあっても自室に入ったことはない。
「嫁入り前の娘の部屋に入るわけねぇだろ」と本人には言わないが、時透などにはよく言っている。
というわけで困惑している不死川をおいて、杏は襖を引く。
中へ入ろうとしたとき、全く動かない不死川を見て首を傾げつつもその手を引き部屋へと招き入れる。
『どうしたんですか??』
不「…どうしたじゃねぇだろォ(ボソッ」
『??何かおっしゃいました??』
不「何でもねぇよ…。」
首を傾げる杏に手をヒラヒラと振りながらぼやく。
『…まぁ、いいですけど。』