第13章 記憶
いや、消滅…??と、首を傾げる杏。
『鬼の頸を斬った後消滅するのと同じような感じでした。手元には跡形も残らなかったです。』
お「それは…本当に不思議なものだね。なぜ鬼舞辻が“青い彼岸花”に執着しているか上弦ノ弐は言っていたかな??」
不「いえ。ただ鬼舞辻が執心しているとだけ。」
お「そうか…。また手詰まりになりそうだね。」
お館様はふぅ、と息を吐く。
お「さて、これからの話をしようか。
杏、これからどうする??」
『………できるならば、長期の休暇を頂きたいです。』
お「うん、わかった。好きなだけ休んでおくれ。
しかし、護衛役はどうしようか。
祈里も音羽も今は蝶屋敷だろう。」
杏が申し訳無さそうに長期の休暇を願い出るとお館様は快く了承してくれた。
杏の身の安全についても思案しているようだ。
不「俺が見ておきます。」
『…え??』
突然の不死川の申し出に思わずキョトンとした顔で不死川の顔を見る。
ここに来る前に不死川から言われたこともあり、自身の身が安全ではないことはわかっていたため新たな護衛を拒否するつもりはなかったが、まさか隣の人物が立候補するとは思ってもいなかった。