第13章 記憶
お「いいんだよ、杏。気にしないでおくれ。」
しかし、そんな慌てる杏とは対象的にお館様は杏の手を静止しながら朗らかに微笑んでいる。
『…わかり、ました。不死川さん、お時間取らせてしまいすみませんでした。』
静止されてしまった手に握られた手ぬぐいで自分の目元を軽く押さえ、涙を拭き待たせてしまっていた不死川に謝る。
不「気にすんなァ。」
一言だけ返して閉じていた瞼を開ける。
『それでは、報告いたします。』
童磨が現れる以前の大量の鬼の件はサクラに伝達してもらっていたので、童磨のことについて話す。
お「大量の鬼の討伐後、すぐに上弦ノ弐が現れたんだね。」
『はい。奴は人間を利用して私をあの場所に誘き出したのだと思われます。奴が利用していたと思われる人間に対して「あの子はもう仕事を終えた。君をここまで連れてきてくれた。」と言っておりました。』
お「大量の人の行方不明事件が起これば、柱が派遣される。おそらく、上弦ノ参に遭遇した際に鬼舞辻に杏の情報が伝わったのだろうね。」
不「音白を欲しているのは鬼舞辻無惨のようです。」
お「鬼舞辻…。杏、“青い彼岸花”について何か分かることはあるかい??」