第13章 記憶
お館様の正面に腰を下ろす。
お「さて、先の任務大変だったようだね。
お疲れ様。」
お館様からの労いの言葉に静かに頭を軽く下げる。
不「ありがとうございます。」
『お館様、ご報告をしてもよろしいでしょうか。』
お「勿論だよ。」
お館様から許可を得た杏はふぅ、と息を吐き、真っ直ぐにお館様を見つめ、口を開いた。
『鬼殺隊 桜柱 音白杏。先の任務の際に、失っていた記憶の全てを取り戻しました。』
お「…本当かい??」
杏の言葉に目を見開くお館様。
部屋の側に控えているひなき様とにちか様からも視線を感じる。
『はい。上弦ノ弐に遭遇したことで記憶が刺激されたのだと思います。』
お「そうか…。お姉さんたちのことも思い出したんだね。」
『…はい。お館様、あの部屋のものは全て…姉たちの遺品ですよね??』
お「そうだよ。槇寿郎と行冥に家の場所を聞いて隠の子たちに持ってきてもらったんだ。」
その言葉を聞き、杏は深く深く頭を下げた。
『本当に…ありがとうございました。あの部屋にいるとき、とても心が安らいでおりました。記憶はなくとも姉たちを感じていたのだと思います。』