第13章 記憶
不「あいつらだって鬼殺隊員だ。
お前が側から離してもどこかで闘う。
それなら側において強くしてやれよォ。」
まぁ、あいつらが目覚めてねぇと始まらねぇが、と言って遠くを見ながら言い、杏の頭にポン、と手を置く。
『この数ヶ月で柱との共同任務の大変さはあいつらが1番よくわかってる。こんなことで逃げるような奴らじゃねぇだろォ??』
『そう、ですね…。ありがとうございます。』
頭に置かれた手を振り払うことはせず、しばらく俯く杏。
『ありがとうございます。もう、大丈夫です。』
頭から不死川の手を退かし、いつも通りの笑顔を見せる。
不「あァ…。さて、少し急ぐかァ。
走れるかァ??」
『はい、大丈夫です。』
杏が頷くと同時に走り出す。
入り組んだ道を進んでいくと、産屋敷邸に辿り着いた。
皆、ここを産屋敷邸というが、ここは柱合会議やお館様と隊士たちが謁見する場だ。
実際に産屋敷家の方々が住まう屋敷はここよりもずっと巧妙に隠されている。
その場所は柱ですら正確に把握できない。
いつも柱合会議が行われる庭の方へ歩いていく。
すると、庭の方から白髪の2人の少女が歩いてくるのが見えた。