第13章 記憶
『……ありがとうございます。でも、お館様へ報告するまでは…無理させてください。』
不死川の気遣いに素直にお礼を言う杏。
不「そうかィ。…花柳と佐々木を宇髄の任務に同行させたこと、後悔してるかァ??」
これ以上、今は何も言わないだろう、と不死川は違う話題を投げかける。
『…何でもお見通しなんですね。
……少し、してますよ。』
杏の脳裏に浮かぶのは傷だらけでベッドで眠る祈里と音羽の姿。
『私に着いてきていたとしても…こちらもなかなか大変でしたし、守りきれるかわかりませんけどね。』
はは、と乾いた笑いを零す。
『というか、私はもう記憶戻りましたし、頭痛が起きる心配もないでしょうし、護衛役の任は解いてあげたほうがいいですかね。柱との合同任務はやはり危険が多いです。』
不「それはねぇだろ。」
『え??』
自傷気味に笑い、護衛役の解任を仄めかす杏の言葉を不死川は即時に否定する。
不「記憶戻ったから昨夜の記憶がないとは言わせねぇぞォ。“青い彼岸花”はよくわからねぇが、鬼舞辻がお前を欲してんだァ。これまで以上に、1人でいるのは危険だ。」
『でも、私の安全のために彼女たちを危険に晒すのは…』