第13章 記憶
最後に頬の傷の処置を終え、処置道具を戻すしのぶ。
『お疲れのところありがとうございました。』
し「いえいえ。またいつでも…と言いたいところですが、怪我には気をつけてくださいね。」
『はい。では、失礼します。』
宇髄にも、ではまた今度、と手を振りその場をあとにする。
蝶屋敷を出てすぐ、サクラにお館様へと伝言を頼む。
『サクラ。お館様にこれから向かうと伝えて頂戴。』
サ「ワカッタワ!!」
飛び去っていくサクラを見送り、お館様の屋敷に向けて歩き出す。
不「あいつらに記憶のこと言わなくて良かったのかァ??」
気にはなっていたが自分の口から言うことではないと黙ってくれていたのだろう、そんな不死川の気遣いにこっそり微笑む杏。
『どうせなら一気に言ったほうがいいかと思いまして。結局は柱全員に共有されるでしょうし、バラバラに言うと大変ですから。』
不「まぁそれもそうかァ。」
不(特に無理をしてる様子はねェが、実際は無理してんだろうな。
俺が何か言おうと変わらねぇんだろうが……)
そんな会話をしながら不死川は杏を観察する。
不「無理はすんなよォ。」