第12章 邂逅
ニコッ、と微笑み、お礼を言う杏。
不「お前の護衛たちから任されたからなァ。」
『ふふっ、そうでしたね。』
いつも通り笑う杏に不死川はこっそり胸をなでおろす。
不(記憶が戻ったようだが、いつも通りだなァ。
……また倒れないで良かった。)
無限列車のときの様に倒れて何月も眠られては心臓に悪い、とぼやく。
『さて、どうしましょうか。』
不「何がだァ。」
『これからですよ。できれば宿に戻りたいところですけど、こんな姿で戻れば女将さんにかえって心配をかけてしまいそうです。』
うーん、と悩む杏を見ながら不死川はしゃがんで杏の日輪刀の破片を拾う。
不「隠に向かわせればいいだろォ。置いてきた着物も回収させて俺たちは本部に戻るぞォ。」
破片を手ぬぐいでくるみ、杏に手渡す。
『あ、ありがとうございます。お館様への報告もありますし、そうしましょうか。』
破片を大事そうに撫でたあと、羽織の袂に入れる。
そこに隠たちが到着した。
「風柱さま!!桜柱さま!!」
『お疲れ様です。後処理お願いします。
あと、この町の宿に藤の花の家紋の家に借りた着物を置いてきたので回収と返還をお願いします。
宿の方には「不死川の荷物を取りに来た。2人とも無事だ」とお伝え下さい。』