第12章 邂逅
不「あァ、悪い、助かった。」
杏の隣で一呼吸ついた不死川が童磨から視線を逸らさず、杏に尋ねる。
不「で、どうしたんだァ??」
『…戻りました、記憶。』
不「みたいだなァ。それでその殺気かァ。
これで雑魚鬼に柱じゃないって言われることもなくなるなァ。」
良かったじゃねぇかァ、と笑う不死川。
『今それ言います??』
不「てか、お前また口調荒かったぞォ。」
『焦ったんですよ。あの冷気、知ってたので。』
不「そうかィ。」
『あの鬼の出す冷気を吸うと肺胞が壊死します。…あの頃は壊死の意味なんてわかりませんでしたけど……鬼殺隊からしてみればとてつもない脅威ですね。』
不「あァ。………夜明けまでは。」
『…あと、一刻程でしょうか。先刻の大量の鬼たちにかなり時間を取られていたようですね。』
不死川からの問いに空を見上げ、現在の時間を考える。
不死川は童磨から視線を離さないが、杏の様子もジッ、と見ている。
不(口調は落ち着いてるが、…冷静じゃない。
こいつはまだ飼いならせてねェ。)
童「ねぇー、そろそろいいかな??」
結構待ったよー、と扇を振る童磨に鋭い視線を向ける杏。