第12章 邂逅
─ 桜の呼吸 漆ノ型 彼岸桜 ─
遠心力を利用して大きく日輪刀を振るい、童磨の右腕を落とす。
童「うわっ!!あー、腕落ちちゃった。」
『……どうして血鬼術を使わないんですか??』
防戦一方になっているというのに一向に血鬼術を使ってこない童磨に静かに尋ねる。
童「えー、だって君のことは傷つけずに連れてかなきゃいけないからね。あ、でもその後ろの柱は殺さなきゃだから使おうかなぁ。」
ヘラヘラと笑う童磨にイライラが募る杏。
舌打ちをしそうになったとき、童磨が再生させた右腕に扇を持ち、振ろうとしているのが目に入る。
杏(あの扇……、あのときのっ!!)
幼い頃の記憶を思い出し、バク転を2、3度繰り返し距離をとる。
そのとき、追い抜いてしまった未だに固まっている不死川に慌てて叫ぶ。
『不死川さん!!あいつから離れて!!
あの冷気を吸っちゃだめ!!』
童「あれ、よく覚えてたね!!
まぁこれで君のお姉さん瀕死にしたんだもんね。」
童磨はハハッ、笑いながら扇を振るう。
─ 血鬼術 粉凍り ─
不死川もようやく動き出し、なんとか冷気から離れる。
『大丈夫ですか??』